[コメント] 21グラム(2003/米)
この脚本は、ある意味とんでもない「ご都合主義」だと思ってしまった。とは言え脚本自体が悪いんじゃない。それを「リアル」と感じさせるのが監督の仕事ってもんだろうから。
でも、仮にもしキャストが全員ラテン系だったら・・・? メキシコの風景の中での話だったら? 想像してみれば、同じ展開でもやっぱり断然説得力があった気がする。だって、実際にベニチオ・デル・トロだけは何をやっても問答無用の説得力があったし。
だから、いくら上手くてもこの話にはショーン・ペンとかナオミ・ワッツとかじゃあ、見た目でまずダメなんじゃないか。声でダメ。英語をぺらぺら話してるようじゃダメ。ヒステリーじゃダメ。エキサイトしちゃダメ。プロテスタントじゃダメ。きっと、もっともっとパッションが必要なんだよなあ。テキーラ飲んでなきゃダメなのだ!?
これは、実はなんとも現代メキシカンな話なんだと思った。いかにもアメリカ的な風景の中で、しかし、ほとんどの登場人物の行動原理にはアメリカ社会(WASP)的には重要な一貫性=インテグリティが無く、ラテン系的に重要な情念=パッションを行動基準にしている。この話を監督が敢えて白人キャストで英語版にした意欲は買っても、その賭けはやっぱり負けだよ。
あと、みなさんも気になったらしいけど、僕の知る限りでもやはり心臓病患者はタバコを吸いません。もちろん医者も止めますが、何より吸ってもおいしくないらしいです。でも、もしメキシコ人だったらそれも納得しちゃうかも・・・ だから、監督はこういう、ある意味差別的にもなりかねないくだらない先入観を超えたいのかもしれないけど、それにはやはり時間が必要なんだろう。
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (2 人) | [*] |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。