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[コメント] スキャナーズ(1981/カナダ)

派手な展開に拘らない、むしろ地味で静かな作品だからこそ不気味。内面的な恐怖とSFXの両立がまた良い。策士クローネンバーグは世界を支配可能な超能力に答えを求めようとはせず、その根底にある絶対的な恐怖を見事に描き抜いている。
ナッシュ13

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ホラーにおける起承転結は最高に不気味な余韻を与えてくれる。かなり緻密な脚本だと思うし、超能力を(映画における)娯楽の一種として限定描写していないところに好感が持てる。自分が元々「不気味な余韻」に弱いためか、今こうやってぶるぶるしながら(こりゃマジ)コメントを書いているが、これも全てクローネンバーグの巧妙な脚本のおかげ。なんて策士なんだ!!

序盤は超能力に頼らざるを得ない警備会社とその社会の弱さを露呈するかのような、一見切なさの漂う展開。スキャンする側とされる側は両者共に哀れみの表情を浮かべる。銃口をスキャナーに向けても(スキャンされ)思うようにいかず、悲劇的としか例えようの無い最期が待ち受けている。超能力=娯楽という概念があった自分は、この展開に目を見張るしかなく、超能力のこういった描写には新鮮味を感じると共に、改めてクローネンバーグの「視点」に驚きを隠すことが出来ない。

この作品のポスターを飾るほど、マイケル・アイアンサイド演じるレボックの存在は大きい。その理由は勿論ラストの予想外な展開に尽きるのだが、彼もまた主人公だということも言えてくるように思う。一歩も動かない超能力の対峙、その衝撃はかなりのもの…。ここでSFXが最大限の魅力を発揮する。冒頭の頭部破壊やドロドロに焼け落ちる電話ボックスシーンもかなりスゴイが、ラストであの演出が待ち受けているとは…!

シリーズは13年間でpart5まで続くが、これぞデビッド・クローネンバーグ!という作品は最早これだけだろう(念のために時間をかけて全作観ようとは思うけど笑)。今年2005年にはリメイク(?)の話も浮上しているようで、またスキャナーズの衝撃を目にすることができる日がくるかもしれない。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)t3b[*] クワドラAS[*]

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