[コメント] オクラホマ・キッド(1939/米)
1曲目は酒場のピアノ演奏に合わせて、ペギー・リーで知られる「I Dont Want to Play in Your Yard」を唄う。そして、2曲目は「Rock-a-Bye Baby」で、ギターを弾きながら、英語とスペイン語で唄うのだ。
次に、こちらを先に書くべきだったかも知れないが、演出及びジェームズ・ウォン・ハウの撮影に関する特徴をいくつか記述したい。一つ目は多用される斜め構図について。これは、基本的に主要人物の会話シーンなどでは使われず、走る汽車や、町の建設場面で短いショットを繋げる部分など、状況説明的ショットでかなり目立つ形で使われている。多分、ウォン・ハウのアイデアなだろうと思う。彼は、たまにこういう奇矯なことをやる。あるいは、岩山と斜面を取り入れた画面造型と演出も目立つ。キャグニーの登場シーンが岩山の上で騎乗した仰角ショットだし、彼が急な斜面を乗馬したまゝ駈け下りるという見せ場が複数回ある。あと、最初にプロットをキビキビと繋ぐ、と書いたが、例えば、キャグニーが父親の仇をとるため三悪人を追い詰める一連のシーケンスなんかでも、あっという間に見せ切る簡潔さだ。このあたりは、もうちょっとタメて見せても良かったようにも思う。
また、キャグニーのキャラ造型で、先住民の土地を白人の入植者に分配し、町を建設する、といった社会構造に対して批判する発言をさせたり、西部での遵法精神について、複雑な立場を意識させたりする点は、興味深いところだと思う。勿論、最終的に暴力による解決が選択される、というのが西部劇としての帰結ではあるが。
さて、脇役についても書いておこう。本作の悪役は黒ずくめのハンフリー・ボガートで、キャグニー対ボガート、という点では同年の『彼奴は顔役だ』と同じだが、本作のボガートの方が、悪党のボスらしい美味しい扱いのように感じられた。また、本作のヒロインのローズマリー・レーンは、私は初めて意識したが、調べると『彼奴は顔役だ』のヒロイン−プリシラ・レーンのお姉さんらしく、姉妹で相次いでキャグニーと共演させる、という企画でもあったようだ。尚、本作のラストシーン、ローズマリー・レーンの父親−ドナルド・クリスプも絡んだエンディングの趣向はなかなか凝っている。
#備忘でその他の配役を記述。
・ボガートの手下には、エドワード・ポーレーやウォード・ボンドがいる。
・ヒロインのレーンに求婚するネッドはハーヴェイ・スティーブンス。ネッドの父親はヒュー・サザーン。
・クリスプは判事。弁護士はチャールズ・ミドルトン。
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