[コメント] 恋人はスナイパー 劇場版(2004/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
まず言わせてもらうなら、フジテレビの『踊る大捜査線』にテレ朝が追随したのが見え見え。TVドラマを見ていないと話が分からないような映画は、その時点で「映画」としての要件を欠いている。冒頭でほんの申しわけ程度に解説を入れたってダメだ。
さらに、「平和」とはカネさえ払えば手に入る類のものではないが、誰かに任せておけば保たれるというわけでもない。この話、最初こそ主人公サイドに警察のトップだの内閣閣僚だのがわんさと出てきて賑やかではあるが、最終的には狙撃手と女性刑事の2人のストーリーに集約されてしまう。そこには他の人間が入り込む余地はなく(例外は竹中直人か)、2人のスタンドプレーで話が進行していくのは、見ていて非常にもどかしい。
というのは、これは日本国民1億3000万人が関わっている(という設定の)話なのに、その1億3000万の顔がまったく見えてこないからだ。彼ら大衆は単なる「集合」としてモノのごとく扱われ、自分自身の意志を持つ存在として描かれてはいない。TVは「視聴者に見せないといけないもの」と「見せるべきではないもの」を分別することなく無責任に垂れ流し、それを見た大衆は思考停止のごとく情報に翻弄され、右往左往する。
しかも、そういう映画を製作したのがTV局であるという事実がまたこちらを驚愕させる。犯人が高層ビルの上から地上を見下ろしたように、製作陣もまた一般大衆を高みから見下しているかのような印象まで受ける。
こんな人間をバカにした作品を作っていては、日本映画界に未来はない。少なくとも私はそう思った。
とりあえず、名前を使わせてもらってこんな映画にしたことを、製作陣は中国のあの巨匠に謝るべきであろう。
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