[コメント] キル・ビル Vol.2(2004/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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オマージュが映画の血肉として息づいている。サリー・メンケの編集やロバート・リチャードソンの撮影も非の打ち所がない。
何より、母であることを第一義とした落とし前をキメるサーマンが超絶に美しい。男はなべてサーマンにヨワいと聞いたことがあるが、特にこのサーマンを愛する人間が多いのは、タランティーノの演出が、彼女が母であることを強烈に押し出したからだろう。強い母に勝てる男などいるのだろうか。本作はマザコン殺しの代表作として映画史に残るだろう。
「母娘ライオンが再会し、密林に平和が戻りましたとさ」というエンディングのテロップが深い。
ラストのサーマンの運転シーンは背景の合成が(敢えての)安っぽさを醸し、オマージュを形成するのみでなく、背景からサーマンの美貌が浮き出しているように見える。ブレのない真っ直ぐな瞳にどうにも心の鼻血が止まらない。最近、タランティーノは女性映画のヒトなんだと思い始めた。女性をこれだけ魅力的に切り取る監督は、私の知る限りそれほど多くない。
といいながら、死を以て愛の表明に代えるキャラダインや前述のマドセンの堕ち方も超絶にカッコいい。「俺には胸がない。だから、(胸を撃ち抜かれる)お前の痛みは俺にはわからねえんだ。わからなくて良かったぜ」と言いながら、その実ひしひしと痛みを感じているらしいバドの眼差し。「胸」に「母性」を読み取ってるんだな。何か泣かせるんだよな、このマドセンは。
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