[コメント] 深呼吸の必要(2004/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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キビ狩りに集まった若者たち。彼らは心中、みんなとうまくやっていきたい、少なくとも気まずい雰囲気は解消したい、と思っているように見える。当面のキビ狩りより、そっちのほうが気が重い感じ(古株の田所にしてみれば「毎年のこと」なのだろう)。でも、自分が折れるのは有り得ないし、リーダーシップもとりたくない。ノルマがあてがわれていれば、余計なことは考えず自分の仕事だけとっとと片付けてしまうという手もあるが、あいにくそうはいなかい集団作業なのだ。個人尊重の生き方で育ってきた世代ならではの人づきあいに関する「問題」がつきつけられる。
で、彼らは結局うまくやろうとはしない。そのことにあえて向き合わない。ただ、何かのきっかけがあればそれに乗っていこうと思っている。その時がくるのをじっと待っているのだ。これを見て、そういう問題解決の方法もあるんだな、と思う。ただただ収穫に間に合わせたいという目標に、みんなの目がいっせいに向けられた時がその時だった。それをめざしていくうちに言いたいことも言って仲良くなってしまったし、それぞれが自己で抱えていた問題さえ少しばかり前進したようだ。仲良くやろうとか、沖縄で過去の清算をしようとか、そういう目標をもっていて、それに真剣に向かい合って果たしてうまくいっただろうか?
目標に向かって進むばかりが能じゃない。人は無意識のうちにプチ目標みたいなものをいっぱいたてて、それを克服しようとして、焦ったり、いらついたり、傷ついたりしているのではないだろうか?
なぜ私はいまプールで競争をしているの? 目の前の目標に向かうその前に、ちょっと目標から目をそらしてみよう。そうすると違う目標や光景が見えてくる時もあるよ、と。深呼吸の必要とは、そういうことだと思う。
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