[コメント] 深呼吸の必要(2004/日)
古典的プロットとオーソドックスな演出に支えられたこの映画に、「今」を感じる要素があるとすれば若者たちが、終始一貫して互いにとり続ける周りへの心身的距離。誰も他者の領域に踏み込もうとせず、誰ひとり他者の言葉に説得された分けではないところ。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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必要以上に他人の目にうつる自分を意識し、常に他人との距離を測ることに全神経を集中するあまり、心身ともにすり減りへらし悲鳴を上げそうなくせに、他人の目を気にして平然さを装っているのが「今」の若者たちだとすれば、彼らが求道の道しるべとして必要としているのもは、道理を説いて導いてくれる知恵者や経験者でもなく、互いに身をゆだね傷をふさぎ合う恋人や友人でもないのだろう。
何故なら、求道者も恋人も友人も当然のことだが「人」でしかないのだから。「人」との距離に悩む者にとって必要なのは、「人」との距離が無理なく測れる「環境」なのだろう。「どうにかなるさ」を身上とする南の島の微温さに見守られながら、自ら選んだポジティブな強制労働をこなすというアメとムチほど、彼らにとって好都合な「環境」はないだろう。ただ私には、彼らは人との距離の測り方を取り戻しただけで、人との関係の築き方を見つけたようにはみえなかった。彼らは、再び気遣いの日々に、ただ戻っていっただけではないのだろうか。
唯一、ただ一人自分の意志で早起きして、自らに突きつけられた当面の事態との関係性を築いた高校生長澤まさみに未来が見えた。要は、その他の若者に主体性のかけらも感じられないとうことが、私のいらだちなのだが・・・・。
こんなことを書くと、今どきの若者にまた嫌われてしまうかもしれないが。
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