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[コメント] 家族ゲーム(1983/日)

家庭や学校といった共同体の秩序が崩壊し、個人は正面から向き合うことを徹底的に回避する。家族は食卓に横並び。大事な話は車の運転席と助手席で。傍に座る家庭教師と殴り合う。
緑雨

食への偏執、生活音の強調と音楽排除の対照など、クセありすぎの手法で、'80年代ポストモダン社会の病理を病的に表現する。この病理は40年近く経った今でも継続してるけど、SNSで表面的につながることが容易くなってうまくバランスを取ることができるようになった分だけ、社会は成熟したとも言えるのかな?

優作だけでなく、宮川一朗太も、伊丹十三も、由紀さおりも、それぞれに怪演で、不協和を醸成する。だだっ広い空き地と工場と団地というリアリティ薄弱な生活空間がディストピア感を増幅。専用エレベーターで自室に上がる女友達宅の造型には笑ってしまう。

優作、伊丹、担任教師役の加藤善博、そして森田芳光監督。なぜか急逝した人物が多いな、と。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)週一本 けにろん[*]

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