[コメント] 王立宇宙軍 オネアミスの翼(1987/日)
往年のアニメ作家には実写へのコンプレックスをもって撮っているところがあったように思うのだが、それはえてしてアニメを見たい観客にとってのコンプレックスとなりうる。
写実的であるというか、下手にファンタジーに行くまいと懸命な映画。気持ちはわかるが、何か物足りない。
SFの側面に限らない。キャラクターの書込みにも貫徹されている、ヒーローと違う等身大の追求は最前線でのロケット打ち上げというスペクタクルがカタルシスをもたらしたことからも結実はしていたのだろう。
ただラストには腑に落ちないものが残った。例の傲慢と紙一重の俯瞰的な説教がなかったら好転した問題だったのかは解らないが、自分にはアニメの実写に対するコンプレックスがいらぬ形で働いたようにも見受けられた。
子供だましにしたくない、大人の鑑賞に耐えられるものを作りたいという強迫観念を企画段階から内包していたのだと思う。あるいはそのコンプレックスが、凡人は理想を語れるかというテーマにすり替えられていたようにも見えた。
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