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[コメント] ガルシアの首(1974/米)

車があるのだから猟奇的な指示に従わずとも死体を丸ごとトランクに積んだらいいのにと思うのだが、違うのだろうか。湿気多く好まない。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
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ガルシアの首取って逃げて、追いかけてきた家族に囲まれ銃で狙いをつけられたウォーレン・オーツの絶体絶命。農民との関係は『イージー・ライダー』の変奏だ。さて次は対決か和解かそれとも別の展開かと、固唾を呑んだそのとき、大地主の派遣コンビのロバート・ウェバーギグ・ヤングが割り込んできて家族を惨殺し、オーツに殺される。これは、いかんだろう。せっかく積み上げてきた対決を霧消させて、作者がうまく逃げたとの印象しか残さない。

全体に湿気が多い。真ん中辺りでイセラ・ベガを失う前後からオーツは涙涙の造形で辛気臭い。愉しいのはオープンカーからアヒルを射撃している序盤だけだ。金がいるんだ、という動機も不鮮明で、序盤の酒場でピアニストしている姿が愉しそうだから、そのままピアノ弾いていたらいいじゃんと思ってしまう。金と女と取引からは『チャイニーズ・ブッキー』などカサヴェデスの諸作が想起されるのだが、あちらのどん底目がけてのクールネスに及ばない。

ギターつま弾くメキシコ系のイセラ・ベガはジョーン・バエスが想起される。観客に生首を見せない配慮は当時らしく、明るいアメリカの夜は今や懐かしい。私的ベストショットは冒頭の、妊婦が湖の岸辺に横たわる数カットで異常によく撮れている。妊婦は水が似合う。確か再見。

(評価:★3)

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