[コメント] フォレスト・ガンプ 一期一会(1994/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
一度目、「ホラ話を繋げただけの映画」という印象が残った。しかし、ずっと最後のシーンが気にかかっていた。それは、自分の息子だと聞かされたフォレスト(トム・ハンクス)が一瞬声を詰まらせて
「利口かい?」
と言ったシーン。その「ぐっ」と声を詰まらせる表情が、それまでヒョウヒョウと人生を成功してきたフォレストからは想像できない表情だったので、やけに印象に残っていた。
その答えを見つけるべく、時間を空けてから再見した。
そして、二度目観た時この世界観が『ガープの世界』に通じる、ブラックなユーモアとウィットに富んでいる事が分かった。
周りの人間に流されながらも、人生の成功者として生きていっているかのように見えるフォレストだが、その実、彼に触れた人々の方が、彼から多くの事を学び、得ている事に気づいた。
私は最初、「一期一会」とは、フォレストの昔話を聞く人物の事だと思っていた。しかし、これが大きな勘違いだった。「一期一会」が差すのは、フォレストと出会った人の事だったのだと思う。
「一期一会」=茶会に臨む際には、その機会は一生に一度のものと心得て、主客ともに互いに誠意を尽くせ、の意(大辞林第二版)
フォレストは出会った人にそれを無意識的に行える人物だった。ジェニーには愛情を、ババやダン中尉には友情を。その時の彼にできる限りの誠意を尽くせる人物だったからこそ、彼は成功者として非難される事も無く、誰からも愛されるのだった。
そのフォレストを手助けしていたのが、コンピューター技術だった。彼の話が寓話でなく、よりナチュラルな印象を与えるために、充分な貢献をしていたと思う。
例えば、下半身を失ったゲイリー・シニーズ。両足を折っているにしては細い太股なので、どうやったんだろうと思っていたら、青色靴下を履いて演技をし、後でコンピュータ処理をしたと聞いた。
大統領との合成・ピンポン玉、そういった細かいところの違和感が少ない分、よりこのフォレストの誠意を味わう事が出来た。
その点で、この映画のアカデミー賞は納得できたのだが、トム・ハンクスという素晴らしい俳優の魅力・演技力が発揮されているかといえば、まだ充分でないと思う。個人的にはどうしても『キャスト・アウエイ』の彼の方が素晴らしい演技をしていたと思うからだ。
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