[コメント] 戦場のなでしこ(1959/日)
これはフィクションにしてはいけない題材だろう。史実に沿うことこそが抗議の正しい方法であり、デマは抗議にとってマイナスでしかない。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
いい処もある映画ではある。冒頭、看護婦たちが新京でソ連兵に徴用される辺りの、寄る辺ない不安は画から伝わってくる。砲撃のなか中国の少女を宇津井健が手術する件も異常さが際立っている。看護婦連は明らかに丸顔の人物ばかり集めており、制服姿で並んだショットはどれも凛々しく特に小畠絹子の婦長は際立っている。宇津井の突撃中、突然雪景色に変わるのは清順っぽくて面白いし、三ツ矢歌子の脱出はよく撮れている。
しかしまあ、中盤以降のソ連の看護婦誘拐から彼女らの集団自決に至る展開は、原作もないし映画で何の断りもされないのだから新東宝らしいフィクションに違いなく、それはいくら何でも酷い。これではデマ、フェイクニュースである(とても大切な記録映画だと熱く語るブログも見つけたぞ)。ソ連ならやりそうなことではあり、実際酷いことがたくさんあったのだが、それを主張するのなら当然に史実に沿うべきなのであり、デマはマイナスでしかない。抗議などどうでもいい娯楽作のつもりなら、このような善隣外交に反する題材は取り扱うべきではないと思う。
ときに『氷雪の門』(74)がソ連からの批判で公開中止になったのは有名な話だが、本作にはなんでソ連は抗議しなかったのだろう。ソ連上層部がお裁きを下す物語だからなのか。
(評価:)
投票
| このコメントを気に入った人達 (1 人) | [*] |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。