コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] 永遠のモータウン(2002/米)

ソウルミュージックとはまさに言い得て妙。ヒッツヴィルUSAと言われ、それでも漠然と感じ取れる魂の所在が今はっきりとした。
づん

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







私は1976年生まれで父と母が23歳の時に生まれたのですが、父は当時モータウンにどっぷり漬かっていて、私は物心ついた時から車や部屋で聴いていたのはモータウンサウンドでした。高校生くらいの時にマーヴィンゲイを聴いて、ものすごく懐かしい気持ちとグルーヴの心地良さにドカーン!とキタのを今でも覚えています。

記憶すらない頃から耳に馴染んでいたモータウンをはじめとするソウルミュージックは、私にとっては今も愛して止まない音楽なのです。

地方では上映されるか不安だったのですが、随分と遅れながらもちゃんと上映してくれる映画館がありまして、無事大画面で鑑賞する事が出来ました。本当に最初のベース音からグっときて、思わず顔がニヤけてしまうくらい心地よいうねり。

ありゃー。これは映画館でじっと鑑賞するような映画じゃないなー。

体がリズムを刻みたくてウズウズしてくるわ、一緒に口ずさみたくなるわ、すごく幸福でハッピーな気分。アタシって楽器の音を聴くのが大好きだし、しかも日本人だから歌詞の意味が分からないし、かえってバックの音を無意識のうちに楽しんでいたよな、昔から。絶対!という、自負の気持ちも芽生えたりして。本当に音の一つ一つが生き物みたいに感情的であり、喜びに満ちていて、まさに人と楽器が一体化しているよう。そんな中「What's Going On」はいつ聴けるんだろうとウキウキしていたんですが、中盤あたりから何故か胸が違う意味でギュウギュウに締め付けられていくんですね。チャカ・カーンの歌う「What's Going On」が流れてくる頃には我慢してたのにたまらず目から汗が出てしまいました。耳に馴染みすぎた心地よいメロディと、それに何重にも重なる厚い層の音たち。それぞれが独立しつつ他の音を決して殺さない、最高に噛み合った音の洪水。なんという幸福感なんだろうと思うと、思わず目から汗が出てしまった訳なのです。

リユニオン・コンサートで、今は亡きメンバーたちの写真がそれぞれの定位置に据えられる。会場は割れんばかりの拍手に包まれる。なんなんだろう。悲しい訳じゃないのに目から汗が止まらない。何十年の時が過ぎても全く彩を失わない数々のポップで幸福な名作と、それを生み出したファンク・ブラザーズを思い、汗が出た。自らの命を注ぎ込んで奏でた音だからこそ、その魅力は永遠のものなんだろうと思います。

まさに永遠のモータウン。これからもモータウンで生まれた音楽は永遠に輝く事だろうと思います。クッソー。墓場まで持って行きたい「What's Going On」。これから聴く度に胸がジュンと疼いてしまうよ。

DVD買って両親にも見せてやりたい。二人の青春がここにあるんだもんね。そして私の青春もここに刻まれている。未来の私の子の青春もきっとここに刻まれる。永遠のモータウン。

------------

04.09.30 記

(評価:★5)

投票

このコメントを気に入った人達 (2 人)Santa Monica らくだーら

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。