ヴェンダースはそんなに好きじゃないけどこれは別。

ただ単に東京の‘８３年の映像を編集したのと、笠智衆と小津のカメラマン厚田雄春のインタビューによって構成されているだけの作品なんだけど、前者の映像が好き。

普段見慣れているような風景を映像化することは意味が無いように思えるけど、実際には大きな違いがあると思う。

ある風景を実際に見る時、対象と自分との間にはある関係が生じてしまうけど、それを映像で見る場合、観客と対象との間には絶対的な超えられない断層が存在する。つまり、完全な第三者として対象を見ることができる。そういった形で観ると、見慣れている風景も違って見えて面白いと思う。その辺がこういったタイプのドキュメンタリー映画の本質だと思う。

そういう、何気ない映像が好きな人にはおすすめですけど、物語性の高いドラマが好きな人にはおすすめできません。

あと、小津好きにもおすすめかな。

2000/12/22