[コメント] 砂と霧の家(2003/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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この映画の物語は我々の実生活に見られるような些細な(しかし切実な)問題や諍いと悲劇が中心となっており、非常に理解出来、真摯な作品と受け止めた。しかし、…この映画は少し美しすぎるのだ。
映画として或る程度物語を美しくしないと観客が観ていられなくなるとは思うが、しかし(特に)キャシー(ジェニファー=コネリー)は少し美しく描かれ過ぎだと思う。この物語のキャシーは実際にはもっと神経質で、偏執的なのだと思う。恐らくそこにはもっともっと色濃くアルコール(か薬物)の影響があるに違いない。最後に「一家」が悲劇的な最期を遂げる場面で、キャシーだけが安穏としていられるのはフェアでない気がした。(だからきっと几帳面な?ダリアさんが怒るのも尤もなのですが、実際にはキャシーみたいな女性はウヨウヨ居ます。…というか俺も郵便物放置してます、済みません…。)
一方ベラーニ元大佐(ベン=キングスレー)の描き方も少しソフトになっているのだろう。ベラーニはもっと汚い人物であり、母国でも悪逆非道で生き延びてきた人物なのだ。この映画では政治家の伝記映画を見るように美化され過ぎている。
警官のレスター(ロン=エルダード)が最も現実に近い気もするが、これも本人の言い訳を真に受けたような描き方になっている。要は、自分の職権を笠に着て(依存的な)美人のアル中につけ込み、挙げ句その性愛の虜になってしまった哀れな中年男なのだ。その為に彼は(少なくとも外見的には)美しかった家庭を崩壊させ、自己を破滅させる。…俺にはこの男の気持ち、ものすご〜く良く解るのである。
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