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[コメント] いま、会いにゆきます(2004/日)

トータル的にはそこそこ感動できて悪くないのだが『記憶のはばたき』と『死ぬまでにしたい10のこと』の設定を合わせたような二番煎じの印象も否めない。
わっこ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







死んだはずの妻と再開した父子の感動ドラマ。

設定は少々違うが死んだはずの愛していた女性と再会する展開やスチュエーションに雨を利用したりするところなど前半のストーリーはガイ・ピアースヘレナ・ボナム・カーター主演の『記憶のはばたき』とややだぶる。

映画としては序盤の展開や巧の語る巧と澪の過去のなれ初めのシーンでの不可解だった点が後半になって様々な伏線となっていくところはなかなか巧く、それまで消化仕切れなかった面をきれいに消化している。

エピソード的にも巧の語るなれ初めでの澪との距離が一歩近づく度に障害が発生し巧の方から距離を置くようになる恋愛エピソードは本当は澪が好きなのに思いを伝えられない巧のやきもきした感情が上手く描かれていて、さしずめコメディ要素を排除した男版『ブリジット・ジョーンズの日記』を見ているような気分。そして夫婦だったのにも関わらず突如現れた澪に過去のような再び不器用な愛し方をする巧の姿もキャラの個性が確立されていてよかった。

ただ、巧と澪の子供である祐司を含めた家族ドラマしてみるとこの作品での祐司の存在意義は思ったよりも低く、巧や澪にはそれぞれの視点描かれたエピソードが用意されているのに対すると祐司の場合は彼の視点で描かれている場面も少ないし、なおかつ終盤に至ってはほとんど出番もなく実に中途半端な印象になってしまっている。せっかく彼に関する伏線として澪のくれた絵本の通り雨が降っている間だけ母親と入られると信じて、雨が降り続いて欲しいがためにわざわざふれふれ坊主を沢山吊るすという感動的なシーンを作っているのだからもっと彼と澪との母子愛を描いて欲しかったところ。

それと澪が自分の運命に気付き、祐司が父親の面倒をちゃんと見られるように家事を教えたり、自分がいなくなった後でも、母親になってくれる頼れる優しい女性を探したりするところなども『死ぬまでにしたい10のこと』の1シーンのようでマイナスだった。

また、ラストで彼女がなぜ死の一年後に現れたのかという伏線としてタイムスリップをネタとして使うのはいくら意外性を出すためだとしてもそれまでの展開からしたらちょっとムードが壊れてしまった。

役者に関しては高校時代の巧役の浅利陽介中村獅童の顔立ちがよく似ていてなかなか上手いキャスティング。澪役の竹内結子は巧を愛する時の演技は上手いと思うが、母親としての演技では息子を他人行儀に見ている感じで祐司に対する愛情やいたわりという部分があまり感じられない。記憶を失っている前半ならまだしも、母親としての記憶を取り戻した後半までそれが改善されなかったのはちょっと気になった。

トータル的にはそこそこ感動できて悪くない作品なのだが、『記憶のはばたき』と『死ぬまでにしたい10のこと』の設定を合わせた二番煎じの印象も否めない。

演出に関してはラストで祐司が澪が去るぎりぎりまで四葉のクローバーを探すところが前半で登場した家族のビデオのシーンを伏線に最後まで彼女に残って欲しいという祐司の切実が伝わってきて目立たないがなかなか良い演出だった。

(評価:★3)

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