コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] インストール(2004/日)

原作未読。本作を見たら、読みたい気持ちが失せた。原作が如何なる出来かは知らんが、感情の無いドラマと気色悪いヴィジュアルで綴られるなんちゃってアイデンティティ映画では物語として成り立って居ない。 2004年12月30日劇場鑑賞
ねこすけ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







上戸彩パンツみーえった!!!わははははは。え、あれホントにパンツ?まぁいいや。

はぁ・・・アホらしい。非常に詰まらない。出来の悪い青年期アイデンティティの悩み映画。つーか、そんな物全然表現できて居ない。原作が如何なる出来かは分からないが、恐らく本作は演出も去ることながら、脚本も中途半端なのではないかと思う。第一、上戸彩は悩んでいるように思えない。顔真っ黒に焦がして、髪の毛の色染めて、スカート短くして、オッサンに数万円でパンツ売ってる、学校がかったるいだけの女子高生と同レベルにしか見えない。悩んでいる様子が全く無い。

ラスト、上戸彩が何も無い空っぽの部屋で首くくって死んでるのをスケベ小学生が発見する、と言うオチになってたら、度肝抜かれて★1つ増やしていたかもしれない。

イチイチ挿入されるたびに嫌悪感を誘うタラタラした音楽は、個人の感覚の問題として仕方が無いとしても、馬鹿の一つ覚えみたいに何度も何度も挿入するのは一体何の意図があっての事だろうか。そうまで客――ってか俺なんだけど――の神経を逆撫でしたいのか?第一、そうまで変化の無い演出って一体何の意味があるんだろうか?

エキストラらしき人間があまり出てこない新興住宅団地っぽいロケ地や、生活臭の無いマンションと部屋、家具小物類、そして妙にダサい時計台の内部みたいな所。全てに於いて安っぽさが漂っている。予算の都合上の問題かもしれないが、生活臭が全く感じられない部屋や家具は一体何だ。テレビドラマじゃないんだから、もっと気合入れて撮れよ。

ま、「無人の住宅地」と言うのは、“現代社会の象徴”“閉塞感漂う日常”“何も変わらない毎日”と言う意味を持って、意図的にエキストラや、エキストラが写るシーンを排した、と言うのなら分かるのだけど、それならそれで、もっと映画的な雰囲気を出せない物か。俺、全ての映像がセットに見えたよ。マジで。

プロットは確かに奇抜だ。「押入れの中のマックを通して、女子高生と小学生がエロチャットにハマる」と言うストーリーは奇抜で、とても面白いと思う。しかし、そこから何も展開しないまま、とりあえず「学校行きます!」と決心させて“なんちゃって”で完結させる。おいおい、それはドラマとして成り立ってねぇよ。ご都合主義って言うんだよ。コレで「映画」の料金を取るな。腹が立つ。

「あんたには人生の目標が無い」

つまり、コレは自我とか実存が「無い」と言う風に言われている事だよな?つまり、上戸彩はアイデンティティに悩んでいるはずなのに、その心理描写は全てナレーションと、周囲のキャラクターが回想で適当になぞるだけ。おいおい。この映画に“人間的な絡み”という物は無いのか?上戸彩とガキの関係に焦点を絞るのも結構だが、ナレーションと断片的な回想と「恋人の死」なんて言う安っぽいアイテムだけで、適当に心理を描いたつもりになる、なんてそんなの手抜き過ぎ。客ナメんな。

勿論、そういった手法も俺は認めるのだが、この映画は全てそこに頼っている。登場人物を説明する為に用いるだけならまだしも、物語を展開させる為にナレーションを用いる。それって映画としての表現を破棄しているだけじゃないのか?

中身スカスカの物語。とりたてて主人公の心を変える事件もおきぬまま、とりあえず乳揉んで、調子よく突然「おら、学校行くべさ」って、何がどーなったんだか、俺にはさっぱりわからんかった。

それは描いた「つもり」になっているだけ。何も描けて居ない。原作が評価されているのを見た感じではこの映画の出来が悪いだけだろう。ああ、可哀相な原作者。そりゃ宣伝に協力したくないわな、こんな映画じゃ。

聞いた所では、監督は、暗い雰囲気ではなく、軽い雰囲気で描きたかった、とか語ったそうだ。それでも構わないのだけど、何度も言うけど雰囲気云々以前に、映画として成り立って無いんだよ。

イチイチ挿入される、神経逆撫でするBGMも、ヘンテコなヴィジュアルも、全て脚本がどうしようもないほど出来が悪いから何も伝わってないんだよ。勿論、演出方面にも問題を感じたが。

大切な部分がごっそり抜け落ちている駄作。そこに残ったのは、あのガキの人気と上戸彩のパンチラと「濡れた・・・」と言う台詞を言わせた事実程度か。

★2でも良いのだが、「映画」の形を借りて、出来の悪いTVドラマで「なんちゃって」映画面している事が――「映画を撮っている」と言う事実に対する嫉妬もあるのかもしれないけど――非常に腹が立つので★1。

(評価:★1)

投票

このコメントを気に入った人達 (3 人)テトラ[*] sawa:38[*] 直人[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。