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[コメント] シルヴィア(2003/英)

グウィネス・パルトロウは溌剌と美しさを放つ姿にしても精神衰弱で苦しむ姿にしても、シルヴィア・プラスという人物をしっかり演じていた。しかし、この映画には“才能ある者の苦悩”を描く上で観客をその苦悩に引き込んでいく力が不足していたのが残念。(2005.6.11.)
Keita

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
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 特に終盤に言えることなのだが、苦悩を描く上で見ているこちらとしてももっと痛みが欲しいのだ。そうでないと映画に引き込まれていかない。シルヴィアは最終的には精神状態の悪化により子供を残してまで自殺をするが、なぜそこで自殺にまで追い込まれたかが伝え切れていない。正直いつ自殺してもおかしくない状態にいた彼女だ。映画としてクライマックスに山場を持ってくるならば“なぜそこで自殺を選んだか”が示される必要がある。精神衰弱の高みを終盤に持ってくるべきだったと思う。悲劇性が弱いのである。

 終盤には大いに不満があるが、中盤までは良かったゆえなのだ。精神状態が悪くなっていくことで詩が書けるようになる。この描写は文学を物語っていると思う。大衆文学の場合は当てはまらないだろうが、純文学の場合、言葉が出てくるときというのは自らの精神が追い込まれているときであろう。多くの文学者が悩んで自殺する事実。シルヴィアもそのひとりだったのである。

(評価:★3)

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