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[コメント] ドッジボール(2004/米)

ベン・スティラー大暴れ。クドさしつこさもこれだけやれば芸のうち。大の大人がドッジボールに血眼になるという物語の設定や、劇中のドッジボールの存在や歴史といったモキュメンタリー的要素が効いていることが映画としての成り立ちを盛り上げる。
かける

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
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全米一位になっているだけあって、たしかによくできている作品ではあるけれど、とにかくブラック、徹底的にブラック。その上ダーティー(アメリカではPG-13だけれど、日本では……どうだろう、もしかしたら平気かも)

そして、クセものハグレもの大集合、もしかしたら「普通の人々」は一人も登場しないようなメンバーが、「友情」「努力」「勝利」の物語を展開するという生真面目さというかバカバカしさ!

ユニフォームが間違って届けられてしまって、SMコスチュームで一回戦を戦ったシーンでは椅子からズリ落ちながら大爆笑してしまった。これはどうやってもデートムービーにはならない映画だなぁ。股間をポンプアップするシーンとか、無意味なカメオ出演の数々とか、とにかくツボに入りっぱなしだった。

多分そういった「ナンセンスなナンセンス」がベン・スティラー的な狙いだったんだろう。

ところが、映画会社はマーケティング試写で懸命に「アウトサイダーがアイデンティティーと自信を回復する物語」という感想を書かせようと誘導してしまっていた。

そういうヘンに肩に力の入った映画会社が配給しようとしていること自体が、劇場公開を難しくしてしまいそうに思える(その時点では公開時期や公開そのものが全く白紙とのことだった)

コメディーには厳しい日本市場。スティーブ・マーティン とエディ・マーフィの怪作「Bowfinger(ビデオ邦題『ビッグムービー』)」も劇場未公開だったりするくらいなんだから、どうもこの作品も劇場は無理かな、という気もする。だからこそ! とにかく、アメリカンコメディーが好きな人にはぜひすすめたい一本(ダメな人は途中でスイッチ切りたくなるかもしれないけど)

それにしても、あれだけPCだフェミニズムだとうるさいアメリカが、どうして「デブいじり」には寛容なんだろう。もしかして、アメリカ社会では「デブ」が無条件に悪にできる最後の砦的存在なんだろうか?

そりゃあたしかにブラックでダーティーな映画だから黒人ネタもホモフォビアも出てきたけれど、洒落にならないほど叩きのめしていたのは「デブ」だけだったように見えた。

別にシンパシーも何にも一切感じていないにしても、「デブ」をダーティージョーク最後のフロンティアにしているとしたら、それはそれでちょっとヤだな、という気はする。

アメリカ社会っていうのは、一つこうと決めたら、いつまでもどこまでもず〜っとやってるところがちょっと怖いな、と思うのはそのへんなんだけど。

でも……チアガールをリフトから落としたら「中」に入っちゃった、ってネタでは大笑いさせられてしまったんだけど。

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ほとんど女性が出てこない映画なんだけど、ライバルチームの紅一点役のミッシー・パイル。この人どこかで見たことあると思ったら、『ギャラクシー・クエスト』のサーミアンの女の子役だった!(このときのクレジットは……っていうかジェーン・ドゥだったっていうのが泣かせる)

この役のキャスティング、『ブリジッド・ニールセン』も候補だったらしいけど、彼女でよかったような気もする。カルト風味って感じもするし。

彼女はティム・バートンジョニー・デップのコンビに期待の高まる『チョコレート工場の秘密』(前回映画化時タイトルは『夢のチョコレート工場』)にも出演するようで、ちょっと楽しみ。

(評価:★3)

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