[コメント] Ray レイ(2004/米)
例えば料理で言うと、素材そのものの味を生かした作りとでも言うのだろうか。過ぎることなく、愚直なまでに忠実にレイ・チャールズという人に迫ろうとした演出が、結果としてフォックスら役者の最もよい面を引き出し、この映画を成功へと導いている。
ほんとに全ての役者がいいが、フォックス以外で特筆すべきはレイの母親役と、幼少時代のレイを演じた子役だろう。この背景があってこそのレイだという点では、幼少時代はこの映画の骨格とも言えるべきものだったと思うのだが、そこが本当に素晴らしい。
何度も言うようだが、決してお涙頂戴的な作りではないのだ。またレイ・チャールズという人は、この映画を観る限りでは、とりわけ映画的な人生を送った人でもないように思う。しかしながらこの映画が残す深い余韻は、まさに名作映画のそれなのだ。
『戦場のピアニスト』でも逆光の使い方が印象的だったパーベル・エデルマンの撮影も見事な、これは一見の価値のある秀作である。
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