[コメント] パッチギ!(2004/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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この作品のテーマは「イムジン河」という歌の内容に他ならないと思う。人間は国家に属している以上、国家の考えに基づいて行動しなければならないし、国家のやったことについての責任を問われても仕方がないという立場にたたされることがある。しかし、人間が作った国境線など鳥にとっては何ら関係ないように、人間にだって本当はそんな鳥のような生き方があってもいいのではないだろうか?という、人間が自分を守ってくれるための集団に属しながらも、素朴な存在に立ち返ることの当否を問う、これは問いかけなのだと思う。
一個人が国家の責任を代表して問われてしまう当惑や、国家の代理で別段したくもないけんかを「目が合ったらする」みたいな関係においてついやってしまっている滑稽さという描写を通じて、国家のロジックなんてものが、末端の市井の生活の場面にまで下ってくると、まるで鳥にとっての国境線のように無用なもののように思えるものだ、ということが、誇張された好悪の感情を誰一人として持っていない登場人物たちの、あきらめの中にもどこか楽天的な、哀しさの中にも希望を少し携えているという感情から伝わってくる。
ちゃんとそういうところは押さえているわけやし、こっちでは遊ばせてもろうてええんちゃう?とでもいわんばかり、一転してケンカのシーンについては、シリアスのカケラもなく、ただただ映画として面白く撮ることだけ考えて撮ってはりまんな、監督。
沢尻エリカちゃんは文句無しにいいけど、個人的にはヤンキーとナースのコスプレを楽しませてくれた真木よう子さんにリスペクト。あの飛び蹴りに惚れた。
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