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[コメント] 忘れられた人々(1950/メキシコ)

不謹慎というか、実話をもとにしたこの‘真摯な’作品に対して申し訳ないが、思わず笑ってしまったシーンが、2つ、いや3つ。
KEI

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







‘笑う’という意味合いがちょっと違うが。

色々わい雑な大人たちが登場するが、一番は盲人の大道芸人だろう。障害者は真面目だ、悪い事はしないと、何故か誰もが思いがちだが、彼は違う。迷い子の少年‘小さい目’を助手にした辺りから、こいつ只者ではないと思っていたら、何と可愛いメーチェに手を出すのだ。膝の上に載せてわいせつ行為に及ぼうとする。日常的な事らしく、メーチェもスカートの内のポケットからハサミを出して手に握る。それを見ていた‘小さい目’も、手で刺せ刺せと合図する。いつも扱いが酷く、憎んでいたということだろう。盲人だ、情けを掛けてくれと外では常に言いながら、何という男だ、この男は。思わず、笑ってしまった。

2つ目はラスト。大体貧困家庭の親父なんて言うのは、酔っ払っているか、どなっているか、だ。このメーチェの親父は後者だ。この親父が、死体を見た時の反応、行動が又いい。世界共通貧乏人はいつも犯罪者扱いだ。彼も、それが骨身に沁みているのだ。だからこういう行動をとる。おいおい、そうするのかよ、と思わず笑ってしまった。

最後は、厚生施設の所長。「貧乏を閉じ込められたらなぁ」と、何もできない自分に対して自嘲気味に笑う。そして、私も。

確かに不良物としてよく出来た1作だが、更には上記の脇役たち(もう1人、不良ハイポを誘って関係を持ってしまう、ペドロ他3人の子持ちの母親(!)もいる)の際立ったキャラが、素晴しい。そうだ、実話だった!現実は凄い。やはり笑うしかない。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)ゑぎ[*]

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