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[コメント] きみに読む物語(2004/米)

正直、ラブストーリーとしては三流であり、襲い来る睡魔と幾度となく闘った。この陳腐な物語を「駄作」から辛うじて救っているのは、老いの忘却と戦うふたりのリアルな挑戦だ。
水那岐

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







若き主人公たちの恋模様といえば、これは強引な男と時に流される女との、凡庸きわまりない物語でしかなく、これに涙できる観客は映画に対してイノセントなのかな、と思わされる程度である。

それを幾らかなりとも昇華させるのが、老境のふたりへのショックである。女は痴呆症が重症となっており、数秒前に聞いた事実すら忘れ去ってしまう。男はそんな彼女の書いた物語を読み聞かせ、むかし彼女が経験し、書きとめた事実を記憶から引きずり出そうとする。切実なのはこの部分だけだろう。でも、前半はこの二人を描くための階段を昇らせる義務だと考えれば、退屈とばかりは言えなくなる。

ふたりが命を終わらせるに至る十数分のみが、自分にとっては美しいと感じられたのだから。

(評価:★2)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)disjunctive[*] ダリア[*]

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