自衛隊が戦国時代にタイムスリップするというコンセプトには、近代兵器を使えば下克上の戦国時代で天下統一できるという男のロマンと野望があるのだ。敵が槍と刀と火縄銃で向かってくるところに装甲戦車にヘリ、機関銃で圧倒する爽快さがあるのだ。（もちろん映画だけの話であって、自分は戦争肯定論者でもないし、殺戮愛好者でもない）もし、こんなことになったら大変だけど面白いだろうなというのが、もともとの話なのである。

ところが、今回の戦国自衛隊にはこれが全くない。いつの間にか自衛官が織田信長になっていたり、現地人には発砲するななんて言ってみたり、映画としての面白さが全くない。タイムスリップの原理なんてどうでもいいのだ。わけもわからず起こるのがタイムスリップなのだ。自分達で過去と未来を行き来できるのなら、ドラえもんでたくさんだ。

秀吉や信長を作り出すなら、もっと歴史的事実をうまく取り入れながら歴史マニアをくすぐってほしかった。いきなり、お前は木下藤吉郎はないだろう。つながりは蜂須賀小六だけだよ。七兵衛だって、濃姫と結ばれるだけで信長か？もっと小ネタを混ぜてくれよ。

あーあ、原作がとても大好きなだけに、残念な一作である。