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[コメント] 亡国のイージス(2005/日)

ブザマでみっともない作品と主人公だけど、そーいうところが好きだったりする。050826
しど

イージス艦に乗り込んできた中井貴一や吉田栄作らと並んだ真田広之の身長の低さに驚いたり、この作品の真田広之のかっこ悪さというのは、非常に興味深い。そんな彼が活躍するこの作品に込めた阪本順治の狙いは、私の考えと近いかもしれないと思ったりして、自己流に読んでみる。

この作品の大前提となる、反乱者の要求内容とその反応に、私はがっかりした。対米独立傾向を持つ私には、対米関係の清算以外に何の支障もなさそうな要求内容(ダイスの存在公表についてはさておき)を即座に切り捨てた国家首脳の判断が、そもそも合わなかった。そういう意味では、私の立場は、反乱者達の理想論に近いのだろう。

イージス艦は米国製だし、イージスを爆撃するためのF-2も米国によって計画を台無しにされた代物だ。米国の存在無しに成り立たない自衛隊と日本を前提にする限り、幾ら設定を気取っても、どこか中身の無いものになってしまう。もっとも、渦中の秘密兵器二種も米国産だったりで、問題の所在も米国だったりするが。

作品自体は、特撮部分などに微妙にちゃちさを感じさせるし、人物描写も説明不足だと思われる部分が多い。さらには、主人公・真田広之のブザマさだ。警官に土下座したり工作員に説得を試みる態度や専任伍長という立場や、中井ら工作員と比べた体格のカッコ悪さ。挙句の偵察衛星に映し出される描写には、思わず笑ってしまった。これはコントなのかと。

いろんな面でショボイなー、と、見ながら思ってはいたのだが、私はそんなみっともないこの作品がとても好きなのだ。しょぼくてもいーじゃん、ここまでやってりゃ十分じゃん、なんて。たしかにCGの合成はすぐにわかるけど、自衛隊が協力したことで本物のイージス艦の迫力は十分伝わるし、アクションシーンだって、あざとさのない阪本アクションの面白さは絶妙だ。

理想をいえば日本の姿も映画も役者も可能性はたくさんあるが、作中で、右往左往する政府中枢の連中や反乱者達が、現場で汗を流す浪花節の伍長に劣るというのが、案外、現実の姿だろう。気づけば、主要な役者は二世役者だ。私は、世襲的な既得感というのが好きではないが、それでも、中井貴一や佐藤孝市、寺尾聡も良い役者になったなーと思うし、そこを抑えた、叩き上げ役者・真田広之のカッコ良さが私の欲求を十分に満足させてくれる。

理想論を戦わせることは大切だ。そして、理想と現実をいかに近づけるかというのはさらに重要だ。最近の風潮としては、歪んだ机上の理想論同士の諍いが多く、現場感覚というのがないがしろにされ、現場自体使い捨ての傾向がある。監督自身が意図しているか否かはわからないけれど、『KT』にも見られた、作品の空虚感が現代日本の空気そのものだと考えると、非常に現代日本の肌感覚が伝わる作品であると私は思う。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)けにろん[*] Orpheus

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