[コメント] リンダ リンダ リンダ(2005/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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山下敦弘作品は初鑑賞で、ただパンフの受け売りで長文を書くのもなんなのだけれども。
「女子高生」が「ブルーハーツ」の「コピーバンド」をする。今までの山下監督の作品とは違うらしい。だからこれが撮れたのだろう。でも、このアイディアを聞いても、少なくと も、私はろくな映画になるようには思えない。実際、脚本は何度も行き詰まったようだ。その壁の突破の一つが、ペ・ドゥナをヴォーカルにする。こんな発想でアイディアが進むのだから、すごい。宮下和雅子が脚本に加わることは重要だったようだが、それでも監督は当の女子高生にはリアルな台詞ではないだろう、中一男子から見たリアルなのだと言ったりする。一方で、関根史織にはリアルさに意見を聞いたのだとか(そんなに真剣なヒアリングではなかったようだが)。アドリブが多そうにも見える作品だけれども、現場で作ったシーンはあっても、全体的には脚本重視だとか。ここはペ・ドゥナ、前田亜季、香椎由宇、関根史織 が見事だというほかないのではないかと。もちろん観客の記憶が行間を埋めるような映画ゆえにリアルであるという点も、もちろん大きくあるのだろうけれど。パンフでは監督が、ソンのキャラが、脚本では漫画みたいでリアルさがなかったのをペ・ドゥナがうまく消化してくれたのだというような発言がある。彼女もいい作品に出たと思うし、正直なところ、演技としてそんなに秀でた俳優だとの確信はなかったが、どんなだめな作品に出ても、センスで演じ分けていける才能はあるのだろう、やはり。私のツボにはまったのは前田亜季。メガネ姿の自宅シーンが良すぎるというのは個人的好みだと割り切るけれど、監督は男受けするタイプとして入れたというような発言も。役者としては、主演4人も、味のある脇役も、パンフではそれぞれ個性を評価されている記述があるけれど、やはりそうなのだろう。そして、編集では、監督の今までの作風を意識してか最初は2時間半版を作ったところ、監督が見て、「ダメだ」と思ったところ、思い切りやり直して2時間前後に収めたのだとか、いやこの間がうまい!歌がうますぎる湯川潮音の歌のシーンをどれくらい入れるかも悩んだというが、そりゃそうだ。最終的に、映画としてうまくなっているのだからすごい。あぁ、パンフとかその他諸々、インタビューを読むごと「なるほど、さすが」と洗脳されていって、こりゃいかん。その、ことごとくが、映画を輝かせていた要素だから。
そうそう、脚本では香椎由宇の夢だと明記されていて、確かにそう考えないとつじつまの合わないトイレのシーン、現実側のようにも見え、ペ・ドゥナの夢のようにも見える。そして、その嘘っぽさ紙一重のシーンがあそこにあれだけ自然に入ったのも、一言で言えば、すげえ!
余談: ペ・ドゥナがCan You Celebrateを母語で歌っているところ。実のところ、韓国でもカバーされているこの曲だが、日本のカラオケでも入っているところにはそのバージョンで入っているのだが、どっちで歌っていたのかが気になる。
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