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[コメント] リンダ リンダ リンダ(2005/日)

臭いの無い青春映画。ちなみに、俺はカラオケでブルーハーツを歌う時は、「リンダリンダ」、「トレイントレイン」じゃなく、「人にやさしく」だ。061023
しど

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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ブルーハーツはリアルタイムで好きだったし、韓国ドラマ「威風堂々の彼女」のペ・ドゥナが可愛いなー、なんて思ってたので見てみたのだが、その他いろんな優れた要素を盛り込んでそれなりに見れるんだけど、期待外れなのは否定できない。

冒頭の、高校生ビデオ監督の「カット!」なんて掛け声がやたらでかいのがまず気になったな。大学生監督でもあんなプロみたいに声を張り上げる人居なかったぞ。そんなリアリティの希薄さが、この作品全体を覆う欠陥要素だと思う。

そもそも、この青春物語はたった4日間の出来事なのだ。努力不足をたしなめた『スウィングガールズ』すら、半年以上の期間があるのに、文化祭の出し物を文化祭が始まってから練習するってのは何なの? 高校生の物語ってのは何をやってもそれなりに面白く見れるものだし、その上でわかりやすいバンド成長モノで、フォーク風感動優しさパンクのブルーハーツのコピーだし、可愛い女子高生役の役者も揃えた、さらには、留学生との文化交流というおいしいネタもある。それが、たった4日間の物語でいいの?

メンバーの怪我がきっかけで新しいバンドを組むんだったら、もう少し練習期間があってもいいし、逆に、こんな即席バンドなら、誰もいない会場で、熱い演奏を終えたメンバー同士が自己満足感だけで抱き合って泣いてもいいじゃん。本来、ブルーハーツって、そんな出来損ない達の為の応援歌なんだし。それなのに、ちょっとの努力と思い出を抱えて、ライブまで成功しちゃって、ありえないって。

青春物語てもちっと、汗や小便、恥垢や生理臭みたいないろんな臭さが交じり合った上でようやく味わえる感動だったはずなのに、最近は、デオドランドな漫画的記号だけでどんどん物事が運んで上手いこと終わる。

たまたまバンドメンバーを入れ替えることになって、たまたまブルーハーツを選んじゃって、たまたま留学生を交えて、なんとなく学校の練習場所を使うのに抵抗があって、夜中や外部で練習するから困難を招いたり、どれも、必然じゃない部分に負った展開をしちゃうのが、物語の希薄さを示してる。

むしろ、コピーバンドがブルーハーツじゃなければ良かった。ジッタリンジンの「キリンが逆立ちしたピアス」を笑う世代がなんでブルーハーツは笑わずに受け入れたのか、その違いが、どうにもわからない。単に、監督の趣味なのかもしれないけど(笑)。 

全てを通して根拠の無いイメージだけの展開が、イメージなりに感動を誘いはするけど、逆に先入観を排除した状態では、意味の通じない要素の羅列になっちゃってる粗さを感じてしまう。

蛇足だけど、ブルハボーカルの弟、甲本雅裕を使う辺りも、なんだかなーって。

(評価:★3)

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