[コメント] ランド・オブ・ザ・デッド(2005/米=カナダ=仏)
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約40年間に渡って続いているシリーズだからなのか、はたまた「ゾンビ」というジャンルが確立されてしまったからなのか。個人的に思うのは、(自分含め)ゾンビへの感覚が麻痺している人もいるのでは、ということ。手っ取り早い話が、うじゃうじゃゾンビの存在意義である。…アクションな展開に隠されたメッセージ。
シリーズを積み重ねるごとに多様なメッセージや、ゾンビの解釈を世に送り続けてきたロメロであるが、今作もまた現代だからこそ言い放つことのできる数々のことを示していると思う。時が経てば人間はゾンビに対する一定の距離感を保とうとする。ゾンビを軸にした、様々な思惑が渦巻く社会が出来上がってもしまう。デニス・ホッパー演じる独裁者(&タワーの上流階級住民)とスラムで命からがらの生活を送る人間は、なんて分かりやすい構図なんだと思う。だからこそ面白い。分かりやすい。ゾンビの知能という付加された展開は前作で証明済みではあるものの、これが人間達を崩壊することの伏線にはなっている。
最早、こうならざるを得ない展開。それをアクションで描くことに賛成。人間対ゾンビだけでなく、これまでにはあまり描かれなかった人間vs人間こそ、こうならざるを得ない展開なのではないか。映画としてのバランスを考えると多少半端な感もあるが…。またゾンビが銃器を手にして人間に襲い掛かるところなんかはロメロのセンスを感じる。ゾンビが元々人間であることをここで「思い出す!」というか(笑)。アクションでかもしれないが、スプラッタ描写も近年のゾンビものと比べるとかなり破壊力もあり、また(良い意味で)悪趣味である。
さすがに「居場所」とまで示されると、とうとうここまで辿り着いてしまったか…という感想もある。こればっかりは考えても考えても結論は…現時点では見送り。次があるのならば「居場所」論の完成形を是非示していただきたい!
いんやぁ、ゾンビ最高です。
余談ですがロメロも惚れ込んだ映画『ショーン・オブ・ザ・デッド』のエドガー・ライトとサイモン・ペグが見世物小屋のようなクラブで、鎖に繋がれて出演していましたね。かなり笑いました。というか、彼ら最高に幸せだったろうなぁ。
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