[コメント] 生きものの記録(1955/日)
黒澤作品の1/3を見た現時点で、私にとってこの作品は異色中の異色でした。当時はどうだったか分からないし、そう思うのは私だけかも知れないけど、この作品は全く現実的でないし、SF的でありホラー的でありファンタジー的ですらあり、こんな事言うと黒澤監督に本気で怒られそうですが、私はこの作品を心の底から面白いと思って観てしまったのです。キューブリックとかギリアムの作品を面白い!って思うのと同じ感覚で。
特殊メイクで35歳の三船敏郎に老人の役をさせるなんて奇抜だし(個人的にはかなりキたよ、今回の三船さんの演技)、テルミンみたいな不気味な音楽も奇抜だし、そもそも水爆に怯えてブラジル移住って事がすでに奇抜すぎ。こんな表現方法を用いて「核について真剣に考えろ!」って言われても…。本気で黒澤監督は私たちに問題提起したんでしょうか。そこら辺がうやむや。っていうか分からん。正直分からん。なぜなら「非現実な妄想映画」として面白すぎるから。
病室でのラストシーンなんて秀逸すぎて、三船さんの壮大でファンタスティック(!?)な演技がまたそれに拍車をかけてるんだけど、監督の思惑とかもうどうでもよく思えてくる。私のこの作品の鑑賞の仕方は監督の本意ではないと思う。でもたまにはいいよね?許してね、黒澤監督!
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08.09.08 記
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