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[コメント] 蜘蛛巣城(1957/日)

戦国時代の雰囲気にあふれた映画。映画を観る楽しみの一つは、その映画の世界に没入できる、ということ。この点では文句なく成功している。
シーチキン

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







大掛かりな城や館のセット、それに大勢の俳優やエキストラを使って、軍勢を仕上げたその迫力がよい。特に蜘蛛巣城のセットがよい。

大手門の門前で、三船に追われた先君の息子らが、門前で左右から矢が射掛けられる。戦国時代の城では、城門に押し寄せる敵に、両側から攻撃できるように、そういう造りがされているのだが、それを映画で示した忘れがたいシーンだ。

他にも、三船に最初、与えられた館のセットもよい。田んぼに囲まれた出城という雰囲気が漂ってよい。

それに出ている役者の細かい衣装にまで気を配って、気分はまさしく戦国時代。こういう細やかな演出が、黒澤の魅力の一つではないだろうか。

あれだけの軍勢や城のセットをつくったのだから、ぜひ合戦シーンもやってほしかった所だが、それでも迫力満点であった。

特に最後の、三船がどんどん矢を射掛けられるシーンは必見。

それにしても三船には派手に部屋のなかを動き回って感情を表現するのが似合っているなあ。ストーリーなどは、今となっては陳腐な感じもするし、「マクベス」を読んでいれば、ほぼそれにそって進んでいるから、新味にかけるが、それでも、重厚な時代劇、合戦ものの醍醐味は堪能できた。

(評価:★4)

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