[コメント] 夏の嵐(1954/伊)
戦時下の、もう一つの戦争。ある種の人々にとっては、こちらの方が遥かに切実なのだ。ヴェニスでの古典的かつ優雅なメロドラマから一転、アルデーノ転居後は一気呵成でリアリズムへと雪崩れ込む。その流麗さ!パン・フォーカスでの撮影も見事という他無い。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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フランツの為の2000フロリンを取りに、別荘の扉を奥へ奥へと走りぬける狂乱のリディア。そこへ畳み掛けるブルックナーの音楽。この高揚感はただものではない。
オーストリアとイタリア市民軍との戦闘シーンも迫力満点。遠景や細部を描き漏らさない、偏執的なまでのリアリズムに感動すら覚える。
物語は至ってシンプルだが、我が国の三島由紀夫との無意識的な繋がりを感じた。耽美・退廃主義者は国境を越え、何らかの感覚・詩性を共有しているのかもしれない。
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