コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] 悪太郎(1963/日)

端正。実に端正な画面だ。しかしクラシカルではない。モダーンである。そのモダーンぶりは「大正」の語が喚起する印象と確かに相通じている。あるいはこれ以降の作品に顕著ないかにも清順的な奇異で美しい画面群も「畸形的にモダーン」なものだと云えるかもしれない。モダーン清順。モダーン悪太郎。
3819695

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







時空間の飛ばし方はとても大胆で、とりわけ唐突な「淡路」なんて逆にこっちがぶっ飛んでしまう。舞台の転換あるいは時間の経過などをキャプション(この映画について云えば「淡路」や「東京」)によって説明することは邪道だとする(「画で表現しろ!」という)いささか原理主義的な考え方もあるが、一方で、キャプションをもって観客への伝達が十全に行われるのならばそれでいいじゃないか、という態度もまたある意味では職人的なものに違いない。もちろん清順は土地の異なりを美術によって描き分けることも忘れてはいないが。

終盤における山内賢と風紀部の立ち回りなど、スコープサイズの扱いも堂に入ったもの。

(評価:★3)

投票

このコメントを気に入った人達 (1 人)けにろん[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。