[コメント] キング・コング(2005/ニュージーランド=米)
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おれがみたかったのは撃たれ傷つき全身から血を垂れ流し満身創痍になりながらエンパイヤステートビルの頂上で胸を叩き吼えるコングの姿だった。鉄杭を打たれ体液を流す王蟲にすがるナウシカの如く血まみれでコングの傍に立つアンの姿だった。そしてそれこそがピーター・ジャクソンのみが撮り得る『キング・コング』だと信じて疑わなかったのだおれは。
この映画のレーティングはPG-13(13歳未満保護者の同意が必要)である。PG-13というのは、人間はバンバン殺されてもいいが動物がだらだら血を流したりするのはケシカラン!という凡人にはまったく理解しがたい理念で設定されているらしい。
だからといってPJはこの映画だけはRには絶対したくなかったんだろうな。子供の頃オリジナル『キング・コング』を観て人生の定まったPJには「子供たちが観れない映画」をつくるという選択肢は無かったのだ。PJの造ろうとしたものは、今の時代で、なるべく多くの人に観てもらえる『キング・コング』だ。しかし、PJの映画にとって「凄惨」は常に溢れる「愛」に纏わす衣であり、光をかたちづくる闇だった。『キング・コング』でのPJは裸だ。気恥ずかしいほどにマッパだ。でもその身体からは見えない血が流れ続けているはずだ。コングの体感している血の無い痛みは愛の中で闇にもがくPJの痛みだ。PJ愛してる。
(でも「ビューティフォー」のくだりではさすがにイラっときたぞ)
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アメリカの子供たちは、人が、動物が傷つけば血が流れる、ということを知っているのだろうかね。
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