[コメント] ある子供(2005/ベルギー=仏)
赤ちゃんを抱いたソニア=デボラ・フランソワがアパートの階段を上がって来る。出産後、産院から帰宅したのか。自分の部屋のドアを開けると、見知らぬ男と女がいる。赤ん坊の父親が勝手に人に貸していたのだ。
このアパートの階段が、この後、度々映る。壁の感じから、観客にも、またこゝに来た、ということが分かるので、良いアクセントになる。赤ん坊の父親は、ジェレミー・レニエ。『イゴールの約束』のイゴールだが、本作のブリュノ(役名)は、イゴールとはまた違った酷いダメ男で、イゴール以上に未成熟な造型だ。そして本作もまた「お金」の映画でもある。こゝでは、レニエがその日暮らしのために子供も売ってしまう。
また、レニエの幼さを印象づける描写として、一人遊びのシーンが特徴的だ。例えば、ジャンプして建物の壁を蹴り、足跡をつける。それも執拗に。あるいは、川辺に座って、棒で水面をたたくシーン。こゝはかなりアザトイ。こゝまでやらなくてもいいんじゃないかと思う。
ラスト近く、バイクの後部に年少の友達スティーブを乗せて、ひったくりをする場面があるが、この後の逃走劇はなかなかよく撮れいている。思いの外、追手があきらめない。川の中へ入って隠れるが、水が冷たく、スティーブが泣きだす。このあたりのキリキリした焦燥感がいい。本作を見ても、ダルデンヌ作品は活劇だと思う。
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