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[コメント] 真昼の暴動(1947/米)

雨の刑務所の外観のカットを繋げてクレジット。ミクロス・ローザらしい、物々しい音楽がかぶさる。塀上からの、所内中庭を照らすサーチライトを映しこんだ俯瞰の反復。
ゑぎ

 刑務所モノなので、狭い屋内の場面が多いが、その中での縦構図と、ほとんど動きのないカットでのアクション繋ぎが目立つ。かなり意識的にやっている。

 回想が4回入る。全部甘いメロドラマで、いかにもハリウッドらしい感覚だ。全編に亘って厳しさで統一しようとはしないのだ。賭博場で出会った女に、金と拳銃と車を巻き上げられる話。会社から横領した金で、妻に毛皮のコートを買ってやった話。戦時中のイタリア戦線で、恋人と別れる話。慕ってくれていた車椅子の女性と別れる話。イタリア戦線の部分はハワード・ダフイヴォンヌ・デ・カーロ。車椅子の女性のくだりは、バート・ランカスターアン・ブライスだ。メロドラマも私は大好きだが、メロドラマであれば、それはそれで、突き抜けて欲しいし、犯罪映画であれば、厳しさで徹底して欲しい。

 邦題は、ラストの所内での暴動を指しているが、原題『BRUTE FORCE』は悪役としてのヒューム・クローニンのことを指す。彼の行き過ぎの暴力性(ちょっと変態でもある)こそが見どころだ。メロドラマ部分とラストの暴力とのバランスはいまいちだと思う。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)ぽんしゅう[*]

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