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[コメント] かもめ食堂(2005/日)

ほっこりとした気持ちになる、お姉さんが作ってくれたオニギリ映画。071004
しど

この作品の女性達の姿は、一人で生きていくことを選択した女性の、一つの理想形なのだろう。自分の過去とは無関係な場所で、自分好みのインテリアで生活を彩り、家庭料理の域を出ない料理を出す食堂の店主。そこには自分と似た仲間が集い、マスコット的な男の子も通ってくる。常に無理せず自然体な生き方。

背景説明がほとんどされないまま、ストーリーの主要な目的も無く、ただ日々を大切に快適に過ごしていく日常描写からは、とても女性らしさを感じた。

女性性を売りにしようとすると、どうしても、奔放な愛や頑張りといった「無理した女性」を示しながら「こんな私、素敵じゃない?」と価値観を押し付けられるようで、男の私としては見るのが苦痛だったりするのだが、この作品は、そうした押し付けがましさの無いのがいい。作品自体が、媚ることも当て付けることもない自然体なのだ。

主役が合気道や水泳に見せる、無理なく無駄もない、されど力強い動きが非常に清々しい。お店の挨拶での他の二人との差、馬鹿丁寧と素っ気無さの、その間がすごく魅力的であり、それを演じた小林聡美がまた見事である。もちろん、引き立てる二人もそれぞれの自然体が美しい。

最初は、食堂で出されるオニギリなんて食べたいとは思わないのだが、終わりの頃になると、食べたくて仕方なくなるような、そんな食堂の空間が上手く表現されていた。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)おーい粗茶[*]

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