[コメント] うつせみ(2004/韓国=日)
人が人を愛するということは、その人の何を愛するのだろうか。目に見えるカタチだろうか。はたまた、その人の存在そのものだろうか。カタチの無いものは存在しないのと同じなのだろうか。では愛する人がこの世を去った瞬間、その人への愛は消滅するのだろうか。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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そんなことは無いはずだ。本当は、人はカタチではない「何か」を求め愛そうとしているのだ。そんなキム・ギドクのメッセージが聞こえてくる。
雨露をしのぐことが「家」に求められる最小限の目的であるとすれば、広い庭に囲まれ、高価な調度品が部屋じゅうに溢れた豪邸は、さしずめ目的を見失いカタチのみを肥大化させた物欲の象徴であろう。愛をカタチに求め、欲望を追求する男には永遠に愛は見えないのだ。
カタチ(=欲望)でしか愛の存在を確認できない男によって、カタチの檻に閉じ込めらた女を救い出せるのは、唯一カタチの束縛から解き放たれた青年だけなのだ。モノが溢れかえり、高度なシステムに支配される現代において、愛することの意味をシンプルに問い直す真摯な秀作である。
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