[コメント] 彼奴を逃すな(1956/日)
ファーストカットは蒸気機関車が来るカット。クレジットも、機関車が右から左へ走るのに合わせて、右から左へ出る。やはりこれは、類稀なる音の映画なのだ。貨物機関車、銃声、ラジオ、ちんどん屋、時計、僧侶の団扇太鼓など、見事な音使いだ。
そして、事件の舞台となる商店街のロケーションが素晴らしい。オープンセットか?とも思ったが、画面奥のどんつきの上を、列車が走っているから、ロケなのだろう。あるいは、曲がり角の奥に、家屋や大きな木が見えるところからも、ロケだと思える。
撮影・演出の見せ場も多い。主人公の木村功が殺人犯を目撃する際のカッティング。木村と妻・津島恵子が暮らすアパートへの道が、川沿いにあり、これが堤のない川で危なっかしいのだが、この道をクレーン撮影するカット。あるいは、狭い部屋での被写界深度の深い画面も目立つ。手前に木村を置いて、奥に津島等。そして、見守る刑事を暗殺者の尾行と勘違いし逃げる木村をドリーで追う、ダイナミックな移動撮影も特筆すべきだろう。
#備忘で配役等を記述します。
・木村と津島の店の、隣の畳屋が沢村い紀雄。斜め前?の豆腐屋に若宮大祐。
・日立真空管のポスターが目立つ。電信柱の広告にも見える。日立がある土地か。後半で出てくるチンドン屋は、鹿島共栄会の宣伝をする。
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