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[コメント] ダ・ヴィンチ・コード(2006/米)

主役をケイジに変えれば、そのまんま『ナショナル・トレジャー2』になりますね。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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 ダン=ブラウンの同名世界的ベストセラーの映画化作品。キリスト教信仰の根幹に関わる作品として物議を醸し、世界的にも上映禁止を求める声も多い。ただ、私は原作を読んでおらず、物語もどんなものかわからない状態。かなりわくわくした気分で劇場に向かった。

 …結論から言えば、悪い作品だとは思わない。謎解きとしても割としっかりしていた感じだし、物語の展開もスムーズだ。キャラクタの数を抑えることで物語の理解も難しくない。ハワード監督の丁寧さが良くわかる。

 ただ、これを観ていているだけで分かるのは、原作のテキスト量が膨大すぎると言うこと。それで消化不良をおこしてる。前半部分はまだしも、後半になると次から次に新事実が発覚し、観ているこっちはジェットコースターに乗ってるように流されるだけ。おそらく小説だと山ほど伏線を張って、それぞれの新事実もそれなりに驚きをもって受け入れられるのだろうが、映画だとあっけ無さすぎて、あまり驚きは無い。それに登場人物を絞ったお蔭でソフィーが実は…という物語の肝がかなり事前に分かってしまったのも痛い。

 はっきり言ってしまえば本作は映画化には向かない素材であったと言うこと。いくら監督の技量が良くても、こんな詰め込み方をしては、書籍の魅力を活かすことはできない。小説は小説として無理に映像化する意味は無かったようにも思える。

 ハンクスを主役に持ってくることで文芸調を強く打ち出せたのは、多分良かったんだろう。仮にニコラス=ケイジを主役にしたら、そのまんま『ナショナル・トレジャー』(2004)になってしまう。それはそれでいかがわしさが増すので、観てみたい気もするし、敵を作らないためにはそっちも正しい作り方のようにも思えるんだけど…

 下らないことだけど、冒頭のルーブル博物館のシーンで気になったこと。

 ソニエールは腹を撃たれたため、死ぬ前に多少時間がかかった。それは良いんだが、美術館中にあんな複雑なダイイング・メッセージを残せるんだったら、その前に救急車かなんかに電話すれば助かったんじゃなかろうか?それ以前に賊が入った直後に警察に通報されて然りだと思うんだけど、原作ではその辺どう書かれているのかな?

(評価:★3)

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