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[コメント] 一人息子(1936/日)

飯田蝶子に対する日守新一の台詞「ひょっとすると僕はもう小さい双六のあがりに来てるんですよ」に戦慄を覚える。その直後、一面に空を映したカットの絶望的な美しさに言葉を失う。
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小津の作品としては珍しく「一九二三年 信州――」「一九三五年 信州――」といったタイトルやフェードイン・フェードアウトが使われている。トーキー第一作目であることと何か関係があるのだろうか。 本作と同じく劇中時間が十年以上持続する『父ありき』が、タイトルとフェードイン・フェードアウトを排する(カットだけで繋ぐ)ことで物語の進行が非常に速いという印象を与えるのとは対照的だ。製糸場の近代化(機械化)以前/以後の様を示すカットがあるのだから、個人的には「一九二三年」「一九三五年」のタイトルは不要だったと思う。

「小さい双六のあがり」の台詞が出る埋立地のように、小津はロケーション撮影も抜群にすばらしい。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)ぽんしゅう[*]

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