[コメント] 早春(1956/日)
好き嫌いの分かれる作品でしょう。
淡島千景、浦辺粂子の上手さと、テーマ音楽のすばらしさがこの作品を支えている。
もし失敗があるとすれば池部良、岸恵子の関係に観客も嫌悪感しか持ち得ないような描き方をしている点。両者に感情移入ができない。あの時代のあの年代の男性特有の存在喪失感(これは加東大介、三井弘次によって「語られて」いるが)と父親にすらなれなかったという自己否定感や、報われない不倫関係に若い自分のすべてを預けようとする女性の苦悩といったものがすべて自分勝手の一言で片づけられてしまう。設定はいいのだから、各登場人物に対して公平に見られる視点へ観客を誘って欲しかったと思う。
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