[コメント] リオの男(1963/仏)
本作も、ずいぶんと幼き日に見ており、今回再見したのだが、実はもっともっと面白い映画だと思っていた。特に後半は緩く感じられた。
それと、矢張り、題名も手伝って、リオの場面と、ベルモンドの運動神経の印象が強く残っていたのだが、今回見ると、題名に偽りありと云いたくなるような、パリ、リオ、ブラジリア、アマゾンと場面を転換する映画であり、リオは一通過点に過ぎない。タイトルロールはベルモンドに違いないだろうから、素直に考えれば、パリの男なのだ。
とは云うものの、矢張り、リオのシーンが一番魅力的なのも確かだろう。パリからリオへ向かう飛行機の飛行カットが、既に素晴らしく綺麗なのだ。拉致監禁されたドルレアックの居場所(ホテルの部屋)に簡単にたどり着くのも緩い部分だが、このホテルの窓外からのカット(ベルモンドが窓の庇につかまって外壁を移動するカット)も驚愕のカットだし、薬を打たれて正気に戻らないドルレアックの海辺のシーンが、たまらなく可愛らしい。靴磨きの少年の家の装置としての面白さ!サンバに合わせてダンスするドルレアックのステップの楽しいこと!
という訳で、導入部のパリのシーケンスも、ドルレアック登場の唐突なバストショットだとか、窓外の赤いオープンカーの見せ方とか、実に快調な演出だし、リオからブラジリアに場面を移した後も、ベルモンドのアクロバティックなアクションの見せ場は沢山あるし、アマゾンの酒場の姉御の歌唱と乱闘なんていうサービス精神も立派なものだと思うのだけど、それでも、やっぱり、リオのシーンが、一番魅力的なのだ。リオを離れて、靴磨きの少年がもう出てきそうにないと分かった時点で、ちょっとがっかりしてしまった。
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