この設定だからこそ導き出されるべきテーマは、｢人は沢山の見えない何かを背負って生きている｣、ではないでしょうか。その見えない荷の重さが何を意味するのかを知ることが、そのまま｢生きること｣の意味にも繋がる、というシンプルだけど大きななテーマが、余計な枝葉でやや埋没してしまっている気がします。既存の家族の垣根を越えた愛・アナログ生活の｢豊かさ｣。『三丁目の夕日』のあの設定だからこそ緊密に繋がっていたこれらの要素を、よく設定の意義も考えずに雰囲気で組み込んでいる気がします。一言で言えば色気を出し過ぎ。

ただ、印象が悪いということではなく、例えばゲームやテレビを欲しがる子供にガミガミ言いながらも、幽霊の目撃話には何も言わない母親っていいなぁ、と思ったり。子供の育て方に一本筋が通ってますよね。しかしどうでもいいけど、篠原涼子もそろそろ役の幅を広げて欲しいです。このままだと演技が安易に固定化しそうな気が(大きなお世話か)。

(2007/1/25 原作未読)