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[コメント] トゥモロー・ワールド(2006/米)

宇宙人が侵略するでもなく、天変地異が起こるわけでもなく、ましてや死者が蘇って人肉を食らうわけでもない。人類誕生以来当たり前の様に備わっていた人間の生殖能力が失われてしまった世界。この、当然あるべきと思っていたものだからこそ消失してしまったショックは計り知れないだろう。ある意味最も終末を予感させる。
クワドラAS

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
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この題材であると、宇宙からの侵略者に抵抗して派手なドンパチや、猛烈なハリケーンや津波をVFXで見せつけたり、ゾンビどもの食欲旺盛ぶりを夥しいスプラッター描写で画面を彩ったりする必要はない。ただただ未来への希望を失った人類の退廃社会を描くだけだ。そこには常に陽の射さないどんよりとした空と無意味な抗争・爆破テロしかない(爆破は政府の仕業だとか、“フィッシュ”の真の活動目的とかがイマイチ鮮明じゃないんだが)。だから画的には非常に地味で暗い。どこにも高揚感もない。

しかしだ、人類にとって18年ぶりという赤ちゃん誕生(お産場面での二人のやりとりが非常に微笑ましかった)、その一人の赤ちゃんの存在だけであの混沌とした世界に一筋の陽が射したような気がした。だがあのラストだけでは「気がした」としか言えない。どこかの島々で秘かに子供達の楽園を創る、あの状況を考えればそれしかないかもしれない。でもその事は僅かな人間だけが知っているだけであって、その他大勢の生きる望みを失った(或いは失いかけている)人々はどうなるのか?という不安も残る。もちろん、本作に対してそこが不満だとかじゃない。バラ色の未来を、バラ色の結末を見せられても俺はそんなもんで安堵したり喜ぶほど馬鹿ではない。依然として未来に不安を抱きつつも、本作で見せてくれたような小さな希望があれば俺はそれでいい。

まあでも、本作を一言で表すと、面白いとか怖いとかではなく、いい映画だった。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)デナ Keita[*] プロキオン14[*]

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