コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] ラ・ジュテ(1962/仏)

シンプル・イズ・ベスト。(05・5・23)
山本美容室

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 ショート・ショートと聞くと星新一を連想する人が多いと思う。この映画に発想のヒントを得たのではないか?と思われるのが眉村卓の『奇妙な妻』というショート・ショート集の表題作である。

 こんな話だ。失業中の男が妻から、求人広告を渡されて面接に出かける。日雇いの仕事だったが報酬は悪くない。腕輪をはめて、二輪車のような機械にまたがっていれば、仕事は終わるのである。睡魔が襲ってきた。ここは未来だった。男は二十世紀から三十世紀に運ばれて、一日中緑色のアメーバと戦わなければならないのだった。夢から覚めると現在に戻っているが、なんだか体が疲れている…。

 思い出してみると、似てるようで全く違うストーリーだ。でもどこか似てるよね。この映画の主人公は「過去の記憶」に強い執着があった。その「過去の記憶」とは「自分の死」を目撃した女の恐怖の表情だった。「自分が殺される瞬間」は記憶に残るんだろうか。

 映画好きの友人と、デジカメが発売され始めた頃に「これで『ラ・ジュテ』みたいな映画なら撮れる可能性が出てきた」という冗談を言ったことがある。とんでもない話だった。テリー・ギリアムでもこの映画を超えられなかったのだ。素人には絶対無理である。博物館へ行く前に、一瞬だけ挿入される動画のエロティシズムを目撃するために、何度でもこの映画は見る価値がある。

(評価:★5)

投票

このコメントを気に入った人達 (1 人)寒山拾得[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。