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[コメント] 明日へのチケット(2005/伊=英=イラン)

この映画、キアロスタミ監督が言い出しっぺ。意外に、2本目も味わい深い。
死ぬまでシネマ

3人の個性が光る佳作。繋がったレールの上で繰り広げられるひとびとの様々な物語。まさに「人生は旅」旅映画の魅力が満点です。

1作目のオルミ篇は老教授の「おいらくの恋」と「ノスタルジー」の交錯が描かれます。旅はひとを思索に引き込むからです。しかし最後に、教授は現実世界に回帰するのです。それは3人の監督によるこの映画の統一コンセプト「明日へのチケット」に繋がってゆくものです。

2作目のキアロスタミ篇は他の2扁に比べると物語性は低いという印象を受けます。しかし監督は「思いこみの愚かさ」を淡々と語り続けます。旅に於いてひとは様々なものを観察しますが、目に映るものは思ったままではなく、そこに驚きと希望を含む事も多いのです。

3作目のローチ篇は短篇だけに直球勝負で観客に挑戦します。イギリスのド田舎から来た少年たちの触れる「世界」。ぼくらは繋がっている。一市民には「とても手に負えない」のか「関係ない」のか「ぼくらにも出来る事はある」のか。

車掌さんの立場に興味を持ちました。2作目と3作目には同じ車掌さんが登場するのですが、乗客への対応に少し変化がある。それは何故か。そして最後のどんでん返しに監督たちの「守るべきルールとは何か」というメッセージも見えてきます。

追伸) Lunchさんの言う事、解ります。ぼくらは映画に「ワクワク」を求める事が多いです。大画面の迫力を堪能したいから映画館に行く。それを自宅でも求める人はお金を掛けて大画面テレビを買います。でも、映画にはもう一つの魅力(魔力?)があります。テレビと映画では時間の流れ方が違うのです。「テレビ時間」と「映画時間」。「映画時間」の魅力が解ると映画観賞の幅がうんと広がると思います。

(評価:★3)

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