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[コメント] 鉄コン筋クリート(2006/日)

原作のシロとクロは、もっともっとクソガキヅラしているから、アニメの方はコケシのように愛らしく見えちゃう。でも、背景美術の緻密な描き込みで、宝町の実在感はUP。
煽尼采

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







原作には無い場面である、冒頭で爺様が「火って奴は云々」と語っている所に関して、映画のパンフに載っている評論家さんの見解では、クロの暴力性を暗示しているとの解釈。だけど、僕のセカンド・オピニオンとしては、火はシロの事だと考えたい。劇中、シロは、爺様の手にあったのと同様のマッチの火を使って敵を焼き、呟く。「燃えちゃえばいいんだ、こんな町。シロ、こんな町いらない」。純粋さ故の、全てを真っ白な灰と化してしまうような、徹底した破壊性。むしろクロは、何だかんだ言っても町に執着してますからね、「俺の町だ」って。シロは別に執着してないですからね、貯金箱いっぱいになったら「しこう機にクロと乗る」とか言ってるし。

シロは、リンゴの木を育てたり、絵を描いたり歌を作ったり(アホ絵バカ歌だとしても…)するのが好きで、破壊を好むクロと対照的。そんなシロは、自分の空想ワールドに耽って、地に足が着いていない。シロが世界の悪意の中で生きていくには、やっぱりクロが必要なんだろう。その辺が、シロとクロ、陰陽のバランスの必要性。

にしてもこの映画、監督自身も「ハードボイルド」だと仰ってますけど、完全に男、いや「漢」の世界。それだけに、唯一の女性キャラ、木村の女が最後に「男なんて絶対産まない」と言い放つ場面は、かなり強烈。この映画に出てくる連中を丸ごと全否定するかのようなお言葉ではないですか。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)月魚[*]

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