[コメント] たまもの(2004/日)
林由美香なくしてこの映画は語れないという程、彼女のまなざしと少女のように愛らしい感受性に尽きるな。整理できない愛情だとか、抑え切れない衝動だとか、彼女にとってまっすぐ生きることの意味が問われている。鑑賞後はずしんと響く。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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お弁当は彼女にとって何を意味するのか。「食べる」ことの意味は。また、セックスは彼女にとって何を意味するのか。彼女にとって愛情だとか、特に純愛ってどういったものなのか?ここまでくるとロマンスで括れず、1人の女性を描く人間ドラマとして完璧に成立しているように思う。ボウリングのボールが男に見えてしまうという虚構。「ストラーイク。一発。ストーライク」という言葉が彼女をどういった意味で支配していったのか、言葉とは何か、興味深いことだらけである。ずしん、と響いたまま。
はっきり言って、鑑賞しただけでは劇中における真実を全て語れる人はいない。ただ、林由美香の、あの愛らしくも繊細な演技が最大のヒントなのだろう。個人的にはうまく整理できていない。劇中の彼女と同じ気分を味わっているのか、それとも命を絶った河田(青年)の気分を味わっているのか……。
ピンク映画でありながら、すぐさま一般劇場で公開される運命を辿った作品。大袈裟ではあるが、そういった経緯で一般のお店にも陳列され、多くの人が見る機会を与えられたという意味では、それだけでかなり価値の高いピンク映画だ。
林由美香にとって、この作品が特別なものだったと願いたい。
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