[コメント] 善き人のためのソナタ(2006/独)
重苦しいテーマを描きながらも、観客が重苦しく感じないように心を砕いているのが伝わってくる。観終わって残るのは、善きものだった。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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この映画は、社会主義国の暗い面を描いているようでいて、実際には生身の人間の暖かさを描く。それは、ヒロインを演じるのが、あのような肉感的な女性であることだけ挙げても明らかだ。
意外なほどユーモアがあって、そこがまたいい。物語の中盤、食堂で軽口を叩いて上司に見つかり、冷や汗をかいていた若者が、のちに主人公が左遷された「郵便物開封係」で一緒に働いているのが可笑しかった(ベルリンの壁が崩壊したぞ、と主人公に告げる人。同じ人だよね?)。
ところで、他人の家に盗聴器を仕掛け、交代で監視するその様子を見て、私は少しだけ「素人臭さ」を感じた。つまり「ひょっとしたら、例えばアメリカなんかの方が、もっと巧妙かつ徹底的に監視するんじゃなかろうか」と思ったのだ。そういう意味で言えば、このテーマには東も西も関係ない。むかし誰かが言っていた「人間は、それが自分の仕事だと思えば、どんなひどいことでもやり通そうとする」という言葉を思い出す。
主人公は最後に報われる。エンディングで、眼から涙がこぼれた。
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