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[コメント] Dear Friends −ディア フレンズ−(2007/日)

友達、友達と後半くどくなってくるが、2時間退屈しなかった。駄作だった原作を、凡作に仕上げたという感じはある。
空イグアナ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
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正直なところ、大して期待せずに見に行ったのだ。笑いのネタになるかもしれない、という意地悪な期待が半分。笑って楽しむことすらできず、偽善的な説教ドラマに腹が立つだけで終わるんじゃないかという不安が半分。そんな気持ちだった。

思っていたほども悪くなかったです。病気を題材にしたよくあるお涙頂戴物と言ってしまえばそうだが、「命や友達の大切さについて考えさせられました、などと言っている人は馬鹿である。」と切り捨てるほどのひどい映画でもない。自分の過去を振り返っても、最初はこの程度の映画を観て感動して満足していた気がする。誰だって、まずは、こういうお決まりのパターンばかりの単純な物語から始まるのだろう。Yoshiのファンは中高生が多いみたいだから、特にそうなのだろう。

それにしても、『Deep Love』のときみたいにYoshiが監督にならなくて正解だったと思う。(と同時に、彼が監督をしていたら、トンデモ映画史に新たな一作が加わったのにと惜しむ気持ちもないではない。)

というのも、この映画の突っ込みどころは、ほとんど原作にもとが見付けられるからだ。(原作読みました。Yoshiの小説はトンデモ本として数年前にハマったのだ。ひどすぎて笑えないという読者も多いが。)

「お姉ちゃん、きれいでうらやましい。胸も大きいし。」と言う少女。おいおい。こんなませたこと言う子供をかわいいとは思えないよ。

屋上から飛び降りようとする北川景子を止めようとして、本仮屋ユイカが「じゃあ私も同じ苦痛を味わう。」とカッターナイフを胸に刺すシーンは、感動と言うより噴飯もの。そもそも「胸が無くなったことあんのか。」という言葉は、美貌を武器にしてきた北川景子のわがままだから同情できないし、そんな彼女とは全然違う生き方をしてきたはずの本仮屋ユイカが、それに応じるのも不自然。

ライバルだったヒロ子の退場理由が「悪いクスリに手を出して……。」ということなんだけど、実にあっさりとした説明で済まされている。結局この物語って、病気や友達以外にも若者の性とかドラッグとか、社会的な問題を盛り込んでいるようで深みが無いんだよな。

エピローグは長すぎ。本仮屋ユイカが死ぬところまで描かなくても、北川景子がナースになったことだけ表せばよかったのではないか。

……これらのシーンは、すべて原作を映像化したものであります。Yoshiの小説は読者が多いから、あまり改変できなかったんだろうね。だから突っ込むというより、むしろ監督がかわいそうになってきた。

原作よりよくなったと思うのは、やはり後半。北川景子の号泣の演技は素晴らしい。ホテルに行く前の男との会話も原作よりよい雰囲気を出していたと思う。原作じゃ、クラブの女王として復活できたことに満足し、さらにそれを確認するように男を誘うんだけど、映画じゃ、クラブの女王なんてもうどうでもよくて、自分の弱さを知って、支えになってくれる人が欲しい、そのためにピュアな恋愛がしたい、というふうになっている。久しぶりに家に帰り、自分の部屋が片付けられているのを見たときも、病気を乗り越えて人が変わったことをきちんと描いている。

前半のクラブのシーンでは今ひとつダンスにパワーを感じなかったが、それを補うようにカメラがよく動く。学校でも北川景子を追って移動撮影しながらワンカットで撮ってしまったけど、個人的には長回しって無駄に好きだったりする。

(評価:★3)

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